STUDIO TORIUMI / GUIDE

1位は、1冊も
借りられない図書館。

東京近郊で、わざわざ行く価値のある図書館を3つ選びました。1位の国立国会図書館には、日本で出版されたほぼすべての本があります。そして1冊も貸してくれません。それでも1位にする理由を、使い方ごと書きます。

1FIRST

国立国会図書館

東京本館/千代田区永田町 国会議事堂のとなり

日本の図書館の頂点にあたる場所です。納本制度という仕組みがあり、日本国内で出版された本は、原則としてここへ納められます。つまり「日本で出版された本なら、たいていある」。町の図書館で「所蔵していません」と言われた本の、最後の行き先がここです。

そのかわり、1冊も借りられません。
読むのは、この建物の中だけです。

個人への貸出しは行っていません。これは規則がけちなのではなく、「日本でここにしかない本」を失わないためです。貸し出して1冊なくなると、日本から消えることがある。だから外へ出しません。

入館できる人
満18歳以上18歳未満は事前に電話で相談
貸出
できません閲覧は館内のみ
開館
9:30–19:00土曜は17:00まで。資料請求は閉館1時間前まで
休館
日曜・祝日年末年始と、第3水曜(資料整理)も
入館料
無料利用者登録も無料
食事
食堂と喫茶食堂は本館6階、喫茶は本館3階と別館1階

本は「棚から取る」のではなく「頼んで待つ」

ここがいちばん戸惑うところです。書庫には入れません。端末で探して申し込み、カウンターへ受け取りに行きます。出てくるまで時間がかかるので、着いてすぐ全部申し込むのが賢いやり方です。

  1. 入口で利用者登録をする。書庫の資料を使うには登録が要ります。本人確認書類を持っていくこと
  2. 館内の端末で本を探し、その場で申し込む
  3. 出てくるまで待つ。そのあいだに次の本を申し込んでおく
  4. 呼ばれたらカウンターで受け取る。読むのは館内の席で

家からでも読めます。ただし「絶版など、手に入らない本」だけ

個人向けデジタル化資料送信サービス——通称「個人送信」で、自宅の画面から読めます。ただし何でも読めるわけではありません。対象は「絶版などの理由で入手が困難な資料」に限られます。いま本屋で買える本は、ここには出てきません。

絶版などで手に入らない資料を、自宅の画面で読める。印刷もできます(一度に100ページまで。利用者IDと氏名が footprint として入ります)
×いま流通している本は読めません。著作権者の申し出で3か月以内に入手できる見込みのものも外れます
×使うには「登録利用者(本登録)」が要ります。簡易登録では使えません。日本国内に住んでいることも条件です

本登録には運転免許証などの本人確認書類が要ります。手続きは、国立国会図書館サーチ・来館・郵送のいずれでもできます。

館内でしか読めないもののほうが、実は多い

デジタル化された資料のうち、家へ送れるのは一部です。権利の処理が済んでいないものは館内限定で公開されています。行く価値のいちばん大きい部分がここです。

さらに館内では、電子ジャーナル(雑誌に載った論文を電子化したもの)、新聞記事のデータベース、判例のデータベースなど、各分野のデータベースが使えます。ふつうは大学や職場の契約がないと読めないものが、入館すれば読める。これが無料というのは、かなりおかしなことです。

マンガについて。「館内で読み放題」と紹介されることがありますが、正確ではありません。読めるのはデジタル化が済んでいて、かつ館内公開の対象になっているものに限られます。古い作品や絶版のものは強いぶん、いま売られている作品は出てきません。お目当てがあるなら、行く前にデジタルコレクションで検索して確かめてください。

2SECOND

大和市立図書館(シリウス)

神奈川県大和市/大和市文化創造拠点シリウス

1位とは正反対の良さです。国会図書館が「探しに行く場所」なら、こちらは「居に行く場所」。2016年に開いた複合施設で、図書館のほかにホール、生涯学習センター、屋内のこども広場が入っています。

蔵書
約49万冊うち約10万冊が児童書・絵本
飲み物
スターバックス併設買った物も持ち込みも、館内で飲みながら読める
休館
12/31–1/1 のみ3階は9:00–19:00、4・5階は平日21:00まで

コーヒーを持ったまま、館内のどこででも本を読める。
図書館としては、かなり思いきった設計です。

「飲食禁止・私語厳禁」をやめた結果、人が集まった図書館として知られています。静かに集中したい日には向きませんが、半日いても疲れないのはこちらです。

3THIRD

横浜市立図書館

神奈川県横浜市/中央図書館ほか市内18館

市立としては全国でも屈指の規模です。中央図書館を中心に市内18館があり、蔵書の厚みと、建物そのものの面白さで選びました。市内のどの館からでも取り寄せられるので、実質的に18館ぶんの棚を1枚のカードで使えます。

1位・2位と違って、ここはふつうに借りられます。読みたい本を家へ持って帰れるという、当たり前だけれど大事な条件を満たしているのは3館のうちここだけです。

結局、どう使い分けるか

1「この本、どこにもない」ときは国会図書館。日本にあるなら、たいていここにあります。ただし1日がかりの覚悟で
2半日こもって作業したいときはシリウス。コーヒーを持ったまま席にいられます
3家に持って帰りたいときは横浜市立。借りられるのはここだけです

なお国会図書館は、まず自宅から個人送信を試すのが早いことがあります。絶版の本が目当てなら、行かずに済むかもしれません。

出典と、確かめきれなかったこと

確かめきれなかったこと。「CD・DVDが使える」「有料の論文が読める」といった話は、館内のデータベースや視聴覚資料の範囲によるため、一律には言えません。何が使えるかは年度ごとに変わります。目当てがあるなら、行く前に同館へ問い合わせるのが確実です。

時間や休館日は変わります。ここに書いた条件は2026年8月時点で公開されていたものです。行く前に必ず公式サイトで確かめてください。とくに国会図書館は第3水曜が休みという、うっかりしやすい休館日があります。