STUDIO TORIUMI / GUIDE
東京近郊で、わざわざ行く価値のある図書館を3つ選びました。1位の国立国会図書館には、日本で出版されたほぼすべての本があります。そして1冊も貸してくれません。それでも1位にする理由を、使い方ごと書きます。
東京本館/千代田区永田町 国会議事堂のとなり
日本の図書館の頂点にあたる場所です。納本制度という仕組みがあり、日本国内で出版された本は、原則としてここへ納められます。つまり「日本で出版された本なら、たいていある」。町の図書館で「所蔵していません」と言われた本の、最後の行き先がここです。
そのかわり、1冊も借りられません。
読むのは、この建物の中だけです。
個人への貸出しは行っていません。これは規則がけちなのではなく、「日本でここにしかない本」を失わないためです。貸し出して1冊なくなると、日本から消えることがある。だから外へ出しません。
ここがいちばん戸惑うところです。書庫には入れません。端末で探して申し込み、カウンターへ受け取りに行きます。出てくるまで時間がかかるので、着いてすぐ全部申し込むのが賢いやり方です。
個人向けデジタル化資料送信サービス——通称「個人送信」で、自宅の画面から読めます。ただし何でも読めるわけではありません。対象は「絶版などの理由で入手が困難な資料」に限られます。いま本屋で買える本は、ここには出てきません。
本登録には運転免許証などの本人確認書類が要ります。手続きは、国立国会図書館サーチ・来館・郵送のいずれでもできます。
デジタル化された資料のうち、家へ送れるのは一部です。権利の処理が済んでいないものは館内限定で公開されています。行く価値のいちばん大きい部分がここです。
さらに館内では、電子ジャーナル(雑誌に載った論文を電子化したもの)、新聞記事のデータベース、判例のデータベースなど、各分野のデータベースが使えます。ふつうは大学や職場の契約がないと読めないものが、入館すれば読める。これが無料というのは、かなりおかしなことです。
マンガについて。「館内で読み放題」と紹介されることがありますが、正確ではありません。読めるのはデジタル化が済んでいて、かつ館内公開の対象になっているものに限られます。古い作品や絶版のものは強いぶん、いま売られている作品は出てきません。お目当てがあるなら、行く前にデジタルコレクションで検索して確かめてください。
神奈川県大和市/大和市文化創造拠点シリウス
1位とは正反対の良さです。国会図書館が「探しに行く場所」なら、こちらは「居に行く場所」。2016年に開いた複合施設で、図書館のほかにホール、生涯学習センター、屋内のこども広場が入っています。
コーヒーを持ったまま、館内のどこででも本を読める。
図書館としては、かなり思いきった設計です。
「飲食禁止・私語厳禁」をやめた結果、人が集まった図書館として知られています。静かに集中したい日には向きませんが、半日いても疲れないのはこちらです。
神奈川県横浜市/中央図書館ほか市内18館
市立としては全国でも屈指の規模です。中央図書館を中心に市内18館があり、蔵書の厚みと、建物そのものの面白さで選びました。市内のどの館からでも取り寄せられるので、実質的に18館ぶんの棚を1枚のカードで使えます。
1位・2位と違って、ここはふつうに借りられます。読みたい本を家へ持って帰れるという、当たり前だけれど大事な条件を満たしているのは3館のうちここだけです。
なお国会図書館は、まず自宅から個人送信を試すのが早いことがあります。絶版の本が目当てなら、行かずに済むかもしれません。
確かめきれなかったこと。「CD・DVDが使える」「有料の論文が読める」といった話は、館内のデータベースや視聴覚資料の範囲によるため、一律には言えません。何が使えるかは年度ごとに変わります。目当てがあるなら、行く前に同館へ問い合わせるのが確実です。
時間や休館日は変わります。ここに書いた条件は2026年8月時点で公開されていたものです。行く前に必ず公式サイトで確かめてください。とくに国会図書館は第3水曜が休みという、うっかりしやすい休館日があります。